ベースブレッドは栄養満点でたんぱく質も多く含まれる完全栄養食※です。
特にパンとしては異例の1袋あたり13.5グラムものたんぱく質を含み(カレー味を除く)、かつビタミン・ミネラルの栄養バランスに優れているため健康的にたんぱく質を摂りたいと考えている人にとっては魅力的な商品と言えるでしょう。
しかし同じタンパク質でも必須アミノ酸の分布によって、質の良い・悪いたんぱく質が存在し、その指標としてアミノ酸スコアが用いられます。
アミノ酸スコアとは何を示すのか、またベースブレッドのアミノ酸スコアはどの程度なのかを中心に記事を書いています。す。
この記事は結論から言えば次のような点をお伝えしています。
- タンパク質には「アミノ酸スコア」と呼ばれる栄養価の指標がある
- ベースブレッドのタンパク質は小麦全粒粉由来のものが多い
- ベースブレッドの大豆粉がベースブレッドのアミノ酸スコアを引き上げている
- ベースブレッドの第一制限アミノ酸はリジン
- リジンを積極的に摂取すれば、ベースブレッドのアミノ酸スコアを100にすることも可能
- ベースブレッドのアミノ酸スコアは計算すると80前後、公式では70前後
ベースブレッドは完全栄養食※、でも気になるアミノ酸スコアとは?
ベースブレッドにはタンパク質が豊富に(1袋あたり13.5g、カレー味を除く)含まれていますが、たんぱく質にも「質」の良し悪しがあり、その栄養価は必須アミノ酸の量と割合によって決まります。
つまりタンパク質を多く含む食品でも、必須アミノ酸の配合バランスにより栄養価が異なるのですが、その栄養価の指標を「アミノ酸スコア」と呼びます。
たんぱく質はアミノ酸が結合して作られた大きな分子で、食品中に含まれるたんぱく質は消化の過程で個々のアミノ酸に分解され、再度体内で新たなたんぱく質を合成するために使用されます。
アミノ酸には人間の体内で作ることができない9種類の「必須アミノ酸」と体内で合成することが可能な「非必須アミノ酸」の2種類があります。
ベースブレッドのたんぱく質の指標ともなる「アミノ酸スコア」は人間の体が必要とする9つの必須アミノ酸がどの程度バランス良く含まれているかを示しています。
アミノ酸スコアの説明をするときに良く使用されるのが「アミノ酸の桶」ですね。
この比喩では、桶(バケツ)は食品を、桶の板はそれぞれの必須アミノ酸を表します。
そして、桶に水を入れる行為は、食品から必須アミノ酸を摂取することを示しています。
桶の各板はそれぞれ長さが異なりますが、これは食品が含む各必須アミノ酸の量が異なることを表しています。
そして、桶に水を最大限まで入れることができるのは、最も短い板(つまり、最も少ない量しか含まれていないアミノ酸)までです。
これが、アミノ酸スコアの計算方法を表しています。
つまり、食品のアミノ酸スコアは、最も少ない量しか含まれていない必須アミノ酸(このアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます)によって決まります。
ベースブレッドのアミノ酸スコアを具体的に計算した結果・・・
では気になるベースブレッドのアミノ酸スコアはいくらになるのでしょう?
実際に計算してみました。
アミノ酸スコアの算出方法は?
アミノ酸スコアは以下のように計算できます。
- 食品中の各必須アミノ酸の量を、そのアミノ酸の評定パターンで割り、100を掛けます
- その結果得られた値の中で最も小さいものが、その食品のアミノ酸スコアとなります。
アミノ酸評定パターンとは、食品中のアミノ酸のうち何が第一制限アミノ酸なのかを調べるための表です。
国際機関のFAO/WHO/UNUによって、各アミノ酸ごとの数値が決まっています。
また、アミノ酸スコアは最大値が100と設定されており、計算上100を超えたとしても100と示されます。
ちょっと難しいので実際に計算しながら解説していきます。
ベースブレッドのタンパク質は主に小麦全粒粉によるもの
最初からこんなこと言って申し訳ないのですが、ベースブレッドのアミノ酸スコアを計算するには、ベースブレッドに使用されている原材料のうち、たんぱく質を含む全ての原材料と質量が必要なのですが、そんなものはメーカーであるベースフード株式会社でないと知ることは不可能です!
ですので、ベースブレッドの原材料のうちたんぱく質を多く含む成分をピックアップし、ベースブレッドのアミノ酸スコアを推定していきます。
ベースブレッドは種類によって原材料が異なるのですが、基本となる原材料は共通しており、以下のようなものがあります。
小麦全粒粉(国内製造)、小麦たんぱく、還元水飴、大豆粉、もち米粉、発酵種、液卵(卵黄粉末)、ライ麦全粒粉、小麦麦芽粉末、米ぬか粉、チアシード、パン酵母、米酢、海藻粉末、食塩、粉末油脂、昆布粉末、サトウキビ抽出物、酵母
ベースブレッドの原材料のうち、たんぱく質を多く含むものを赤字でマーカーしています。
なお使用されている原材料それぞれの量をグラムで考えた時、水を除いてグラム数が大きいものから順番に並べられていますので、ベースブレッドは小麦全粒粉と小麦たんぱくを主な原材料としていることがわかります。
原材料の「小麦たんぱく」は小麦のたんぱく質部分のことを指しますので、小麦全粒粉と小麦たんぱくに含まれるたんぱく質(アミノ酸)は同一であるとみなしてよいでしょう。
というわけで、まずはベースブレッドのたんぱく質を多くを占める小麦全粒粉のアミノ酸スコアを推定していきます。
文部科学省の食品成分データベースからデータを抜き出すと、小麦全粒粉1g中に含まれる「アミノ酸スコアを計算するのに必要なアミノ酸とその量」は、次表の1,2列目のとおりになります。
アミノ酸 | 含有量(mg/g) | アミノ酸評定パターン (mg/g)※3 | 数値 |
---|---|---|---|
ヒスチジン | 27.3 | 15 | 182 |
イソロイシン | 33.6 | 30 | 112 |
ロイシン | 68.0 | 59 | 115 |
リジン | 27.3 | 45 | 61 |
合計含硫アミノ酸※1 | 38.3 | 22 | 174 |
合計芳香族アミノ酸※2 | 72.6 | 38 | 136 |
トレオニン | 28.1 | 23 | 191 |
トリプトファン | 13.3 | 6 | 221 |
バリン | 43.0 | 39 | 110 |
※3アミノ酸評定パターンは18歳以上の数値を使用しています
含有量を各アミノ酸評定パターンで割って100を掛けた数値が、右端の数値になり、その数値のうち最も低い値がアミノ酸スコアとなります。
上記の表より、小麦全粒粉の第一制限アミノ酸(数値が最も低いアミノ酸)はリジンで、小麦全粒粉のアミノ酸スコアは61になります。
同じ穀物である精白米のアミノ酸スコアが93であることや、大豆・鶏肉・豚肉などがアミノ酸スコア100であることを考慮すると、小麦全粒粉のアミノ酸スコア61という数字は寂しい限りですね。
でもベースブレッドのアミノ酸スコアは61・・・というわけではありません。
なぜならベースブレッドは小麦粉以外の原材料にもたんぱく質が含まれるからですね。
ベースブレッドのアミノ酸スコアは大豆粉などによって引き上げられる
先ほどの計算と同様に、ベースブレッドの原材料のうち、たんぱく質が豊富に含まれるれる大豆粉と液卵のアミノ酸スコアを計算しました(計算は省略)。
原材料名 | アミノ酸スコア |
---|---|
大豆粉 | 100 |
液卵 | 100 |
小麦全粒粉以外の原材料はアミノ酸スコアが100と、タンパクの栄養価が高いことがわかります。
さて、小麦全粒粉のアミノ酸スコアは61でしたが、この値はリジンが第一制限アミノ酸で数値が61であったことが理由でした。
一方で小麦全粒粉の必須アミノ酸の数値は、リジン以外は全て100を超えています。
つまりはベースブレッドにリジンを多く含む、小麦全粒粉以外のたんぱく質が存在すれば、小麦全粒粉のアミノ酸スコアが低くても、ベースブレッド全体のアミノ酸スコアは底上げされることになります。
具体的に計算していきます。
まずベースブレッドでたんぱく質を多く含む原材料に含まれる、リジンの量は次の表のとおりです。
原材料名 | リジン含有量(mg/g) |
---|---|
小麦全粒粉 | 27.3 |
大豆粉 | 69.1 |
液卵 | 69.2 |
仮にベースブレッド1袋に含まれるたんぱく質量が10gで、小麦全粒粉由来のたんぱく質がが7g、大豆粉由来のたんぱく質が3gであったとすると、次のような計算が成り立ちます。
【小麦全粒粉由来のリジン】
27.3mg/g × 7g = 191.1mg
【大豆粉由来のリジン】
69.1mg/g × 3g = 207.3mg
【ベースブレッドのたんぱく質1gに含まれるリジン】
(191.1mg + 207.3mg)÷10g =39.84/g
【ベースブレッドのアミノ酸スコア】
39.84/45(リジンのアミノ酸評定パターン)×100=88.5
上記の計算によると、ベースブレッドのアミノ酸は88.5(仮)に跳ね上がることになります。
ベースブレッドの推定アミノ酸スコアは?
実際にベースブレッドのアミノ酸スコアを計算するには、ベースブレッドに含まれる原材料の質量を知る必要があり、先にも述べたようにメーカーでもない限り数字を知ることはできず、上記の計算値は仮のガバガバ数値です笑
ただ、推定によってベースブレッドのアミノ酸スコアを出すことは可能なので、もう少し頑張って計算してみます。
まず原材料名は、原材料それぞれの量をグラムで考えた時、水を除いてグラム数が大きいものから順番に並べられていますので、小麦全粒粉・小麦たんぱく・大豆粉・液卵のうち、最も原材料として多く使用されているのは小麦全粒粉です。
実際にそれぞれの原材料が含まれる比率は予測するしかないのですが、今回は次のように計算します。
- 小麦全粒粉 ⇒【5.0】
- 小麦たんぱく⇒【3.0】
- 大豆粉 ⇒【1.5】
- 液卵 ⇒【0.5】
しかしここで考慮しなくてはいけないのは、それぞれ原材料がベースブレッドの何割使用されているかではなく、「原材料が何割使用されていて、その原材料はたんぱく質をどの程度含むのか」という点です。
言い換えればベースブレッドに含まれるたんぱく質が、どの原材料由来のものなのかを知る必要があります。
それぞれの原材料に含まれるたんぱく質の割合を文部科学省の食品成分データベースから抜き出し表にすると次のようになります。
原材料名 | タンパク質の割合 |
---|---|
小麦全粒粉 | 12.8% |
小麦たんぱく | 72% |
大豆粉 | 46.3% |
液卵 | 12% |
小麦全粒粉は原材料として最も多く使用されていますが、たんぱく質の含有量が少なく、思ったほどベースブレッドのアミノ酸スコアに寄与していないことがわかります。
一方で、小麦たんぱくはベースブレッドで2番目に多く使用されている原材料であり、なおかつ7割以上がタンパク質で構成されているため、ベースブレッドのアミノ酸スコアは小麦たんぱくの影響を大きく受けることが予想できます。
ベースブレッド1袋に含まれるタンパク質は種類によらず13.5gですので、これらの数値を用いてベースブレッドのアミノ酸スコアを計算します。
ベースブレッド13.5gに含まれる、それぞれの原材料由来のたんぱく質は次のようになります。
- 小麦全粒粉 ⇒【2.43g】
- 小麦たんぱく ⇒【8.20g】
- 大豆粉 ⇒【2.64g】
- 液卵 ⇒【0.28g】
やはりベースブレッドは圧倒的に小麦たんぱく由来のタンパク質が多いことがわかりますが、大豆粉もタンパク質豊富な食物ですので、小麦全粒粉よりもタンパク質量が多いことがわかります。
そして最後に、これらの原材料1gに含まれるリジン量を計算し、リジンのアミノ酸評点パターンで割って100を掛けるのですが、結果だけお伝えすると次のような結論になります。
計算の結果、ベースブレッドのアミノ酸スコアは80.3となりました。
ベースブレッドのアミノ酸スコアを上げるために、リジンを積極的に摂取しよう
ベースブレッドのアミノ酸スコアが80.3というのはあくまで推定値です。
今回計算した4種類の原材料以外にも、タンパク質が含まれる成分はありますし、ベースブレッドの種類によっては小麦全粒粉より多く使用されている原材料も存在します。
また今回計算で使用した原材料の比率も根拠はありません笑
ただ今回の調査でわかったことは、ベースブレッドのタンパク質の多くを構成している小麦全粒粉はリジンが第一制限アミノ酸であり、リジン以外の必須アミノ酸数値は100であるという点です。
つまり、リジンを補うことでベースブレッドのアミノ酸スコアを大きく上昇させ、100にすることが可能なのです。
では具体的にどの程度のリジンを摂取すればベースブレッドのアミノ酸スコアを100にすることができるのでしょうか?
ベースブレッドと一緒に大豆由来タンパク質を5g食べよう
ベースブレッド1袋と一緒に大豆を摂取した場合を考えてみます。
小麦全粒粉は1gあたりのタンパク質にリジンが27.3mg含まれていますが、大豆粉はタンパク質1gあたり2.5倍以上の69.1mgのリジンが含まれています。
ベースブレッドのアミノ酸スコアを100にするためには、ベースブレッドのタンパク質1gあたりのリジン量を45mgにする必要があります(リジンのアミノ酸評定パターンが45のため)。
逆算すると(計算方法は割愛します)ベースブレッドのアミノ酸スコアを100にするには、大豆由来のタンパク質を5g摂取すれば良いことがわかります。
すると、ベースブレッド1袋に含まれるタンパク質は13.5g+5g=18.5gとさらにタンパク質が増え、アミノ酸スコアも見事100になります。
注意が必要なのは大豆由来のタンパク質が5g必要という点で、大豆を5g食べるだけではない点です。
例えばゆでた大豆は主成分の大半が水分であり、タンパク質は14.8%しか含まれません。
計算すると、茹で大豆だとベースブレッドのアミノ酸スコアを100にするには33.8gの摂取が必要となります。
もう1点、皆さんが馴染みのある納豆パックでベースブレッドをアミノ酸スコア100にする方法を計算します。
納豆パックは100gあたりのたんぱく質は16.5g、リジン含有量はタンパク質1gあたり66.6mgとなっています。
計算方法は割愛しますが、納豆パックを30g程度食べれば、ベースブレッドのアミノ酸スコアは100に到達することになります。
納豆1パックは40-50gの容量ですので、納豆1パックの7割程度食べればベースブレッドのアミノ酸スコアは100になることがわかります。
より簡単にリジンを摂取するには
食品に含まれるタンパク質の含有量は大豆製品に限らず、製品によって異なります。
ですのでベースブレッドのアミノ酸スコアを100にするためには、製品裏側の成分表示などでタンパク質含有量を確認の上、摂取量を決定する必要があります。
リジンを多く含む食品としては、大豆製品のほかには、さくらえび、鶏・豚肉、チーズなどがありますのでベースブレッドと一緒に摂取すれば、タンパク質の栄養価が(アミノ酸スコアが)上がります。
ただ、アミノ酸スコアを100にするための計算が面倒だと思う方も多いでしょう。
計算が面倒な場合は、リジンを400mg含むサプリメントをベースブレッド1袋と一緒に摂取すれば、ベースブレッドのアミノ酸スコアは100に到達します。
リジン400mg分のサプリメントを値段に換算すれば10円未満ですので、ベースブレッドを食べつつ筋トレしたい方にオススメできます。
ベースフード公式ではベースブレッドのアミノ酸スコアは70前後とされている
計算が終わったあと、ベースフード公式にベースフード(ベースブレッド、ベースクッキー、ベースパスタ)のアミノ酸スコアについて問い合わせると、次のような回答がありました。
お問い合わせの件につきまして、ベースフードのアミノ酸価は、ベースパスタ、ベースブレッド共に70前後となっております。
ベースフードお客様担当
恐れ入りますが、BASE Cookiesについては非計測です。
肉、納豆などの豆類、卵とあわせてお召し上がりいただくとアミノ酸スコアは100に近づきますので、お試しいただければと思います。
ベースブレッドのアミノ酸スコアは70前後との回答でした。
70「前後」と、数値があいまいなのはベースブレッドの種類によってアミノ酸価が若干異なることが要因であると思います。
私の計算した結果は、アミノ酸スコア80.3でしたので公式の数字とは少しズレてしまいました・・・
しかし近いといえば近い数値ですので、ご容赦いただければと思います笑
数値がズレたのは、ベースブレッドに含まれる大豆粉由来のたんぱく質の割合が想定(15%)より低かったのかなと思いますが・・・真実は闇の中です。
しかしベースブレッド公式でも、肉・納豆・卵などリジン含有量が多い食品といっしょにベースブレッドを食べるとアミノ酸スコアが100になることが言及されていますので、皆さんリジンと一緒にベースブレッドを食べましょう。
ベースブレッドのアミノ酸スコアまとめ
最後に、ベースブレッドのアミノ酸スコアに関してまとめます。
- ベースブレッドのアミノ酸スコアは計算値で80.3、公式で70前後
- ベースブレッドのアミノ酸スコアは卵や肉と比較すると見劣りする
- ベースブレッドの第一制限アミノ酸はリジンであり、リジンを補うとアミノ酸スコアは100になる
- 具体的にはリジンをあと400mg摂取すれば、ベースブレッドのアミノ酸スコアは100になる
本当、簡単にまとめると「ベースブレッドのアミノ酸スコアは微妙だからリジン摂取してね!サプリメントで補えば1袋あたり10円もかからずアミノ酸スコアは100になるからね」ということになります。
なおベースブレッドは筋トレにもある程度ふさわしい食品だと言えるのですが、リジンを一緒に食べるとより効果的に筋肉を増やすことができるはずです。
ご参考いただければと思います。