ベースブレッドの脂質は多いの?他の食材やパン製品と比較した

ベースブレッドの脂質は高い?

完全栄養食※のパンとして、ベースフード株式会社より2019年3月に発売されたベースブレッド。

完全栄養食というからには、たんぱく質・糖質・脂質すべてが理想的に配分されているんだろうな、と思っているあたなは少し痛い目を見なければなりません。

本記事ではとくにベースブレッドの栄養のうち脂質に焦点をあて解説を行っています。

本記事では次のような疑問をお持ちの方の解決となるよう記事を書いています。

  • ベースブレッドはパンなので脂質が少ないんじゃないの?
  • ベースブレッドの脂質は他の材料と比較して多いの?少ないの?

ベースブレッドの脂質はどの程度含まれているのか、脂質が多いと言われている食品と普通の食パンをベースブレッドと比較検証していきます。

ベースブレッド1食分の脂質含有量は少ないと言えるが

まず最初にベースブレッド1袋に含まれている脂質量を調査します。

ちなみにバター10gに含まれている脂質量は8.1gですが、ベースブレッド1袋には何gの脂質が含まれていると思いますか?

ご覧ください。

種類(味)1袋あたり脂質量熱量(kcal)
シナモン味8.8g79.2kcal
メープル味8.2g73.8kcal
プレーン6.7g60.3kcal
ミニ食パン7.5g67.5kcal
カレー6.3g56.7kcal
チョコレート8.7g78.3kcal
ミニ食パン
レーズン味
7.4g66.6kcal
リッチ7.2g64.8kcal
ベースブレッド1袋に含まれている脂質

種類によりますがベースブレッド1袋に含まれている脂質はだいたいバター10gの脂質量と同じ程度であることがわかります。

脂質量が最も多いベースブレッドはシナモンで1袋あたりに8.8gの脂質が含まれている一方、脂質量が最も少ないベースブレッドはカレー味で1袋に6.3gの脂質を含むなど、種類によって振れ幅が大きいことがわかります。

なおベースフード株式会社はベースブレッド2袋を1食分として販売していますので、ベースブレッド各種1食分の脂質量は次の表のようになります(上記表の脂質量を2倍にしたもの)。

種類(味)1食分(2袋)の脂質量
シナモン味17.6g
メープル味16.4g
プレーン13.4g
ミニ食パン15g
カレー12.6g
チョコレート17.4g
ミニ食パン
レーズン味
14.8g
リッチ14.4g

ベースブレッドは種類によって1食あたり12.6~17.6gの脂質を得ることとなりますが、ベースブレッド1食分に含まれる脂質量を表記しただけでは1食あたりの脂質量として多いのか少ないのかピンと来ないと思います。

そこでベースブレッドの脂質量が適正かを調べるために比較対象を用意しました。
比較対象となるのが厚生労働省が公表している2020年度版日本人の食事摂取基準です。

「日本人の食事摂取基準」では、1日の食事のうちタンパク質や脂質・炭水化物からどの程度のカロリーを摂取するべきか(PFCバランス)を公表しています。

全体的なPFCバランスなど詳細はベースブレッドの栄養に関する記事を参照いただきたいのですが、脂質からは食事全体の20~30%のカロリーを摂取することが望ましいとされています。

一般的に運動量が通常程度の場合、1日に摂取すべきカロリーは30代男性で2700kcal、30代女性は2000kcalとされていて、1食分に換算すると男性900kcal、女性666.7kcalとなります。

以上の数字から、運動量が通常程度の30代男性・女性が、1食に摂取すべき脂質量を計算すると次のようになります。

  • 男性 20-30g
  • 女性 14.81-22.2g

すべての数字が出そろったところで最初の数字に戻りましょう。

ベースブレッド2袋を食べると12.6g~17.6gの脂質を1食分として得られるのですが、上記の数字と照らし合わせてどう思われるでしょうか?
次のグラフは30代の男女がベースブレッドを2袋食べた際に得られる脂質量と、厚生労働省の値(上限/下限)を比較したものです。

ベースブレッド1食(2袋)に含まれている脂質量と厚生労働省が定める値を比較20231020
ベースブレッド1袋に含まれている脂質量と厚生労働省が定める値

男性と女性では必要となるカロリーが異なり、当然脂質必要量も異なります。

まず男性がベースブレッドを食べても厚生労働省が定める脂質の下限値に到達するベースブレッドはありません。
次に女性の場合はどうでしょう?

女性の場合は全8種類中5種類のベースブレッドが厚生労働省が定める脂質の下限値に達していますが、上限値にはいずれのベースブレッドも達していません。

これらのことからベースフード1食分に含まれる脂質量は少ないのではないか・・?
と思うかも知れません。

ベースブレッドを必要カロリー分摂取すると脂質量は適切になる

ベースブレッド2袋(1食分)に含まれる脂質量が、厚生労働省が定める値よりも少ないことには実は理由があります。

ベースブレッドは1食(2袋)あたりのカロリーは388-562kcalと、男性・女性が必要とする1食あたりのカロリーよりもかなり少ないのです。
具体的な数値をあげると運動量が通常程度の30代男女の場合、推定エネルギー必要量はそれぞれ1食あたり900kcal,683kcalとなります。

つまりベースブレッド2袋だけではカロリーが不足する、言い換えれば糖質・タンパク質・脂質(PFCバランス)が全般的に少な目の摂取量となってしまうのです。

ではもし男性の必要量である900kcalのベースブレッドを食べたら脂質摂取量はどうなるのかを見てみましょう。

次の図はベースブレッド900kcal袋を食べた場合の脂質摂取量と、1食あたり900kcalを食べたときに推奨される脂質摂量を比較したものです。

ベースブレッド900kcalに含まれている脂質量と厚生労働省が定める値を比較(男性)
ベースブレッド900kcalに含まれている脂質量と厚生労働省が定める値を比較(男性)

プレーン・チョコレート・シナモン味は厚生労働省が定める上限を超えますが、それ以外のベースブレッドは上限内におさまっています。

これらのことからベースブレッドは2袋分では脂質が少ないと言えますが、必要カロリー分を摂取すると、言い換えればカロリーベースで考えると脂質量は少ないとはいえずむしろ全体的には脂質がやや多い食品であると言えるでしょう。

なお30代で運動量が通常程度の女性が推定エネルギー必要量である673.3kcalのベースブレッドを摂取した場合のグラフは次のようになります。

ベースブレッド673.3kcalに含まれている脂質と厚生労働省が定める値を比較(女性)

女性の場合も同様でプレーン・チョコレート・シナモン味が厚生労働省が定める上限量を超えることになり、カロリーベースで考えると脂質が高い種類のベースブレッドが存在すると言って良いでしょう。

とはいえベースブレッドを必要カロリー分(900kcal)摂取するのは下記のように大量のベースブレッドを摂取することとなります。

ベースブレッド900kcal分

左側がベースブレッド約950kcal分、右側は大きさを比較するためにパンを1枚置いています。

ベースブレッドは画像ではわかりにくいですが、かなり重量があるため画像の量を食べるとかなりお腹いっぱいになってしまうでしょう。

ベースブレッドの脂質を他の食品と比較するとどうなるの?

このようにベースブレッドは1食分(2袋)で見るとさほど脂質が多いとは言えないのですが、カロリーベースで見ると脂質が適切な商品です。

ではベースブレッドの脂質をほかの食品と比較すると、どの程度多いと言えるのか・・?

調査していきましょう。

脂質の多い食品と言えば「オリーブ油・ひまわり油」などが頭に浮かびますが、これらは全て油そのものですので比較にはなりません笑

ここは現実的に肉類を中心に比較を行っていきましょう。

なおベースブレッドは種類によって含まれる脂質量に差異がありますが、脂質量が3番目に多いベースブレッドメープル味を比較対象とします。

ベースブレッドメープル味と、肉類を中心とした食品の脂質を比較したのが次の表です。

食品名数量熱量(kcal)脂質
ベースブレッド
(メープル味)
2袋528kcal16.4g
豚バラ肉100g386kcal34.6g
豚もも肉100g183kcal10.2g
牛カルビ100g371kcal32.9g
チャーハン400g708kcal24.05g
カマンベールチーズ100g310kcal24.7g

わかりにくいですね笑

「豚バラ肉は豚もも肉と比較すると脂質がめちゃ多いんだなぁ」という、ベースブレッドと関係のない知識が得られますね。

ですので、上記の表を16.4gの脂質に統一して再構成してみます。

食品名数量熱量(kcal)脂質
ベースブレッド
(メープル味)
2袋528kcal16.4g
豚バラ肉47.3g183.0kcal16.4g
豚もも肉160.8g294.2kcal16.4g
牛カルビ49.8g184.9kcal16.4g
チャーハン272.8g482.8kcal16.4g
カマンベールチーズ66.4g206kcal16.4g

ベースブレッド2袋分に含まれる脂質は、豚バラ47.3g、豚もも肉160.8g(以下略)の脂質含有量に等しい、ということがわかりますね。

これらの脂質に関する数値を見て、どう思われたでしょうか?

パンは主食、肉・チーズは主菜ですので、ジャンルが違う食品を無理やり比較している感は否めないのですが、「ベースブレッドはパン製品なのに脂質が多く含まれている」という印象を受けるのではないでしょうか?

ベースブレッドの脂質を普通のパンと比較すると?

では最後にベースブレッドの脂質を他のパンと比較してみましょう。
ベースブレッドはパンなので、パン製品と比較すると一番わかりやすいかと思います。

今回ベースブレッドの比較対象にしたのは、Pascoの超熟4枚切りです。

ヤマザキ超熟4枚切りの写真

超熟4枚切りは1枚あたりが246kcalで、2枚食べれば492kcalとなり、ベースブレッドとほぼ同一のカロリーとなり比較しやすいため選びました。

超熟4枚切りにはカレーやメープルなどの具材は当然含まれていませんので、ベースブレッドはプレーン味を比較対象とし、参考としてベースブレッドメープル味の数値もあげています。

食品名数量熱量脂質
ベースブレッド
(プレーン)
2袋388kcal13.4g
超熟 4枚スライス2枚492kcal7.8g
ベースブレッド
(メープル味)
2袋528kcal16.4g

超熟4枚スライスなどの、いわゆる「普通の食パン」もそれなりに脂質が含まれているのですが、その理由は製造工程でバターや乳化剤などが使用されているからです。

ベースブレッド2袋より超熟4枚スライス2枚の方が高カロリーですが、脂質量はベースブレッドの方が多く、ベースブレッドは一般的な食パンよりも脂質が多いことがわかりますね。

またベースブレッドプレーン味は全種類のうち2番目に脂質量が少ないベースブレッドです。
ベースブレッドメープル味になるとさらに脂質量が多くなることがわかります。

なおベースブレッドのプレーンと超熟4枚スライスを同一カロリーで比較すると、次のような表になります。

食品名熱量脂質
ベースブレッド
(プレーン)
492kcal16.70
超熟 4枚スライス492kcal7.8g

同一カロリーで比較すると、ベースブレッドのプレーン味は超熟4枚切りを2枚食べた時の2.18倍の脂質が含まれることになります。

これらのことからも、やはりベースブレッドは「パンにしてはかなり脂質が多い製品」であると言えるでしょう。

ベースブレッドの脂質は高いのか?まとめ

以上、ベースブレッドの脂質について述べてきましたが、本記事をまとめると次のようなことが言えます。

ベースブレッドの脂質量は多いのか?まとめ

ベースブレッドの脂質含有量は種類によって差が激しく、カレー味はプレーン味の約2倍の脂質が含まれている。

 

ベースブレッドはカロリーが低いため、1食分では厚生労働省が推奨する脂質量を超えるのはカレー味のみとなるが、必要カロリー分摂取するとすべてのベースブレッドが厚生労働省が推奨する値を超え、カレー味とチョコレート味は上限を超えてしまう。

 

このことからカロリーベースで考えるとベースブレッドは脂質量が多い商品であると言える。

また普通のパン(超熟)と比較してもやはりベースブレッドは脂質量が多いことがわかる。

なおベースブレッドのタンパク質含有量はサラダチキンよりも多くカロリーベースで考えるとかなり多いこと、ベースブレッドの炭水化物含有量はかなり少ないことなども検証していますので、参照いただければと思います。

注釈 

※栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、全ての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む。

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