2019年3月に「完全栄養食※」として発売されたベースブレッドですが、ベースブレッドの広告では「サラダチキンより高たんぱく質」などタンパク質を多く含むことを示唆しています。
そもそもサラダチキンにどれほどのたんぱく質が含まれているのか、他の食材と比較してもベースブレッドのたんぱく質含有量は多いのか気になるところです。
本記事では主に次のような疑問をお持ちの方に記事を作成しています。
- ベースブレッドのタンパク質含有量ってどれくらい?
- ベースブレッドって本当にたんぱく質が多いの?
- ベースブレッドのタンパク質って他の食材と比較するとどうなの?
ではベースブレッドのたんぱく質が一体どれほどのものなのかを調査していきたいと思います。
ベースブレッドのタンパク質含有量は?
さてでは早速ですがベースブレッドのタンパク質量が豊富なのか否かを検証していきます。
まずベースブレッド1袋には何gのタンパク質が含まれているのでしょうか?
ちなみにタンパク質が豊富とされる卵1個にはタンパク質が6.2g含まれています。
ベースブレッドの種類ごとのタンパク質量をご覧ください。
種類(味) | 1袋あたり たんぱく質 | 熱量(kcal) |
シナモン味 | 13.8g | 55.2kcal |
メープル味 | 13.5g | 54kcal |
プレーン | 13.8g | 55.2kcal |
ミニ食パン | 13.5g | 54kcal |
ミニ食パンレーズン | 13.5g | 54kcal |
カレー | 13.7g | 54.8kcal |
チョコレート | 14.0g | 56kcal |
リッチ | 13.5g | 54kcal |
ご覧いただいたとおり、ベースブレッド1袋には13.5g前後のたんぱく質が含まれており、約卵2個分のタンパク質が含まれていることがわかります。
想像よりも多かったのではないでしょうか?
1袋あたりのカロリーは種類によってバラバラですが、ベースブレッドに含まれるたんぱく質量は約13.5gと種類による差異はあまりありません。
次にベースブレッドの公式によるとベースブレッドは1食分を2袋としていますので、1食分あたりに含まれるたんぱく質量を表にすると次のようになります。
種類 (味) | 1食分(2袋)から得られる タンパク質の熱量(kcal) |
シナモン味 | 110.4kcal(27.6g) |
メープル味 | 108kcal(27g) |
プレーン | 110.4kcal(27.6g) |
ミニ食パン | 108kcal(27g) |
カレー | 109.6kcal(27.4g) |
チョコレート | 112kcal(28g) |
リッチ | 108kcal(27g) |
ベースブレッド2袋(1食)あたりのタンパク質から得られるタンパク質は種類によって多少の差がありますが、約27gです。
卵4個分以上のタンパク質と聞くとベースブレッドのタンパク質量はかなり豊富に思えます。
しかし我々の食生活にたんぱく質がどの程度必要であるかはあまり知らない方が多いと思いますので、客観的な数字を提示する必要があります。
今回は厚生労働省が公表している2020年度版日本人の食事摂取基準のタンパク質量を比較対象として検証していきます。
日本人の食事摂取基準によると1日で全体のカロリーから摂取すべきたんぱく質の割合は13~20%となっており、運動量が通常程度の30代男性・女性が1食に摂取すべきタンパク質のカロリーおよび質量を計算するとそれぞれ次のようになります。
- 男性 117-180kcal(29.25-45g)
- 女性 95.3-146.7kcal(23.83-36.7g)
ベースブレッド2袋にはたんぱく質が約27g含まれていますので、女性の場合は厚生労働省の定める値に適合しますが、男性の場合は厚生労働省が定める値より低いことがわかります。
ちなみに別の三大栄養素について言えばベースブレッドは炭水化物が少なく、脂質は種類によってまちまちな構成となっています。
ベースブレッドを必要カロリー分摂取すると、タンパク質量はどうなる?
ベースブレッド2袋(1食分)に含まれるタンパク質量が、厚生労働省が定める値よりも少ない(男性の場合)ことには実は理由があります。
ベースブレッドは1食(2袋)あたりのカロリーは410-528kcalと、男性・女性が必要とする1食あたりのカロリーよりもかなり低いのです。
カロリーは炭水化物、たんぱく質、脂質から得られますので、1食分のカロリーが低いということはすなわちベースブレッドに含まれる炭水化物・たんぱく質・脂質含有量も少ないということになります。
実際のところ、ベースブレッド2袋に含まれるたんぱく質量を厚生労働省が定める値と比較すると、次のようになります。
限・下限などのグラフの詳細についてはベースブレッドの栄養を徹底解析した記事を参照いただきたいのですが、グラフ左端「上限」と「下限」の間にベースブレッド各種の値があれば、「ベースブレッドのたんぱく質量は適切」であると言えます。
ご覧の通り、ベースブレッドのたんぱく質量は厚生労働省が定める下限の値より低い、つまり1食分としてはたんぱく質量が少ないと言えるのです。
これはベースブレッドのカロリーが低いことが理由の1つですが、もう1つ30代運動量通常程度の男性は必要となるカロリーが多いことも原因です。
例えば30代で運動量が通常程度の女性の場合は推定エネルギー必要量は少ないため、ベースブレッド2袋を摂取した場合のタンパク質を厚生労働省が推奨するたんぱく質と比較すると次のようになります。
女性の場合は推定エネルギー必要量が少ない、つまりは必要とされるたんぱく質が少ないため2袋のタンパク質でも厚生労働省が定める値をクリアできます。
では30代で運動量が通常程度の男性がたんぱく質を厚生労働省が定める値以上に摂取するにはどうすれば良いのか・・?
そう、食べる量を増やせば良いですね。
ベースブレッドは1食分のカロリーが低く設定されているため、炭水化物・脂質・タンパク質の三大栄養素が不足するのは当たり前の話なのですが、ベースブレッドを必要カロリー分(900kcal)摂取すると次のようになります。
見事にベースブレッド各種のたんぱく質量が厚生労働省の値を大きく上回っていることがわかります。
900kcalのベースブレッドを摂取するとタンパク質の含有量は厚生労働省が定める値の上限(20%)を超える、つまりはカロリーベースで考えるとベースブレッドはタンパク質が豊富な食品であると言えるのです。
とはいえベースブレッドを必要カロリー分摂取するのは下記のように大量のベースブレッドを摂取することとなります。
左側が約960kcal分のベースブレッドで、右側が普通のパン1枚です。
なかなかこれだけのパンを一度に食べることは難しく、900kcalのベースブレッドを1食で摂取するのは困難であると言えるでしょう。
ベースブレッドのたんぱく質をサラダチキン・超熟と比較すると?
ベースブレッドはカロリーあたりのタンパク質が豊富な商品であることはわかりました。
ではベースブレッドは他の食材と比較しても「たんぱく質豊富」であると言えるか、調査していきます。
結論から言えば次の表のようにベースブレッドのたんぱく質含有量は他の食品と比較しても、豊富に含まれていると言えます。
食品名 | たんぱく質量 |
---|---|
ベースブレッド1食分 | 約27g |
サラダチキン(プレーン) | 25.9g |
超熟(同一カロリー) | 14.8g |
まず、ベースブレッドはパン食品でありながら、「サラダチキンよりもたんぱく質が豊富」と謳っていますので、食パンとサラダチキンとの比較から行っていきましょう。
まずはベースブレッドのたんぱく質量です。
すでに本記事で解説しているようにベースブレッドは1袋で約13.5g、2袋で約27gとなります。
次にサラダチキンですね。
果たして本当にベースブレッドはサラダチキンよりもたんぱく質含有量が多いのか・・・?
比較対象となるのはローソンの国産サラダチキンプレーンです。
上記のサラダチキンプレーン1枚(128kcal)は、たんぱく質が25.9gとなっており、確かにベースブレッド1食分(2袋)はサラダチキンよりもたんぱく質含有量が多いですね。
ベースブレッドの広告に偽りはありませんでした。
次はベースブレッドと一般的な食パンのたんぱく質含有量を比較してみましょう。
一口に「パン」と言っても、食べる量によって三大栄養素の含有量は変わりますので、ベースブレッド2枚分と同一カロリーの食パンと比較してみます。
ベースブレッド1食分は約410-528kcal、同等のカロリーを有する食パンは一斤の半分、つまり4枚切り2枚程度です。
皆さんご存じの「超熟4枚切り」の1枚当たりのカロリーが246kcalですので、「超熟4枚切り」2枚=492kcalとベースブレッドのたんぱく質量を比較します。
敷島製パン株式会社のHPによると、超熟4枚切り1枚当たりのたんぱく質は7.4g。
超熟4枚切り2枚には14.8gのたんぱく質が含まれることになります。
ベースブレッド2袋は27gのタンパク質が含まれていますので、同一カロリーで比較するとベースブレッドには超熟の約1.8倍ものたんぱく質が含まれることになります。
ベースブレッドはパンに分類されますが、やはり一般的な食パンを対象にすると比較にならないくらい多くのたんぱく質が含まれていることがわかります。
ベースブレッドのたんぱく質を他の食材と比較すると?
サラダチキン・食パンとベースブレッドのたんぱく質量を比較しましたが、他の食材との比較も一気に行いたいと思います。
たんぱく質が豊富に含まれている食材を列挙し、ベースブレッドとたんぱく質量を比較すると次のような結果となります。
食品名 | 数量 | 熱量(kcal) | たんぱく質 |
---|---|---|---|
ベースブレッド | 2袋 | 410-528kcal | 約27g |
卵 | 1個 | 76kcal | 6.2g |
サーモン | 100g | 139kcal | 16.88g |
牛乳 | 100ml | 66.9kcal | 3.3g |
ヨーグルト | 100g | 61.9kcal | 3.7g |
木綿豆腐 | 100g | 60kcal | 6.6g |
スライスチーズ | 1枚(18g) | 56kcal | 3.9g |
比較表を作成してみたものの、食品同士のたんぱく質を単純に比較するのはなかなか難しいですね・・。
例えばカロリーベースで比較するとサーモンの方が圧倒的にたんぱく質量は多いですが、ベースブレッドと同じカロリー分をサーモンだけで摂取すると、300gも摂取する必要があるため現実的とは言えません。
また、卵を5個食べればベースブレッド2袋と同等のたんぱく質が得られるため、食事時間の短縮やコスパを考えると「卵5個の方が優秀なんじゃない?」とも思えてしまいます。
しかしベースブレッドは「たんぱく質も多いながらも、炭水化物・脂質もある程度のバランスで摂取でき、なおかつビタミン・ミネラルが豊富」な点が最大のメリットであるため、たんぱく質の多少だけでベースブレッドの購入を考えるのは得策ではないでしょう。
ベースブレッドのタンパク質は高いのか?まとめ
以上、ベースブレッドのたんぱく質について述べてきましたが、本記事をまとめると次のようなことが言えます。
なおタンパク質は単に「多く含まれいれば良い」と言うものはなく「たんぱく質の質」、つまりはアミノ酸スコアも重要になっています。
アミノ酸スコアは私の計算では80.3、公式の見解では70前後となっており、アミノ酸スコアの向上にはリジンの積極的な摂取が推奨されます。
より良質なたんぱく質の摂取を希望される方はぜひ一読ください。
またタンパク質と言えば筋トレに必要不可欠な要素です。
果たしてベースブレッドの豊富なたんぱく質が筋トレ向きであるのかを別途検証していますので、そちらもご覧いただければと思います。