2019年3月に「完全栄養食」として発売されたベースブレッドですが、ベースブレッドの広告では「サラダチキンより高たんぱく質」など、高たんぱく商品であることを謳っています。
そもそもサラダチキンにどれほどのたんぱく質が含まれているのか、他の食材と比較してもベースブレッドのたんぱく質含有量は多いのか気になるところです。
本記事ではベースブレッドのたんぱく質が一体どれほどのものなのかを調査していきたいと思います。
ベースブレッドのタンパク質含有量は?
まずはベースブレッド1袋に含まれるたんぱく質量をベースブレッドの種類ごとに書き出し、カロリー換算します。
種類(味) | 1袋あたりカロリー | 1袋あたりたんぱく質 | 熱量(kcal) |
シナモン味 | 262kcal | 13.5g | 54kcal |
メープル味 | 264kcal | 13.5g | 54kcal |
プレーン | 205kcal | 13.5g | 54kcal |
ミニ食パン | 233kcal | 13.5g | 54kcal |
カレー | 253kcal | 13.5g | 54kcal |
チョコレート | 264kcal | 13.5g | 54kcal |
たんぱく質は1gあたり4kcal換算できますので、1袋あたりの糖質量(g)に4をかけたものが1袋あたりのカロリーとなります。
ご覧いただきたとおり、ベースブレッドは全ての味(種類)で1袋あたりに13.5gのたんぱく質が含まれています。
1袋あたりのカロリーはバラバラにも関わらず、これほど綺麗に1袋あたりのたんぱく質量を調整するのは大変だったでしょうに・・・
なおベースブレッドの公式によると、ベースブレッドは1食を2袋で計算しているため、2袋(1食分)に計算をし直したのが下の表です。
種類(味) | 2袋当たり カロリー | 1食分(2袋)から得られる タンパク質の熱量(kcal) |
シナモン味 | 524kcal | 108kcal(27g) |
メープル味 | 528kcal | 108kcal(27g) |
プレーン | 410kcal | 108kcal(27g) |
ミニ食パン | 466kcal | 108kcal(27g) |
カレー | 506kcal | 108kcal(27g) |
チョコレート | 528kcal | 108kcal(27g) |
さて、ベースブレッド2袋(1食)あたりのタンパク質から得られるカロリーは一律で108kcal、質量で示すと27gなのですが、果たしてこの数値は高いのでしょうか・・・?
ベースブレッドのタンパク質量を相対的に示す比較対象が必要となりますね。
比較対象となるのが厚生労働省が公表している2020年度版日本人の食事摂取基準です。
「日本人の食事摂取基準」では、1日の食事のうちタンパク質や脂質・炭水化物からどの程度のカロリーを摂取するべきか(PFCバランス)を公表しており、その割合は次のとおりです。
- 糖質 50-65%
- 脂質 20-30%
- タンパク質 13-20%
1日の摂取カロリーのうち、タンパク質からは13-20%を摂取すれことが推奨されています。
では、我々は1日にどのていどのカロリーを摂取しているのでしょうか?
一般的に運動量が通常程度の場合、1日に摂取すべきカロリーは30代男性で2700kcal、30代女性は2000kcalとされていて、1食分に換算するとそれぞれ900kcal,666.7kcalとなります。
以上の数字から、運動量が通常程度の30代男性・女性が、1食に摂取すべきタンパク質のカロリーおよび質量は次のようになります。
- 男性 117-180kcal(29.25-45g)
- 女性 95.3-146.7kcal(23.83-36.7g)
ベースブレッド2袋のたんぱく質から得られるカロリーは、すべての種類で108kcalだったので、なんとベースブレッド2袋(1食分)のたんぱく質は厚生労働省が定める値より低いことがわかります。
ベースブレッドを必要カロリー分摂取すると
ベースブレッド2袋(1食分)に含まれるタンパク質量が、厚生労働省が定める値よりも少ないことには実は理由があります。
ベースブレッドは1食(2袋)あたりのカロリーは410-528kcalと、男性・女性が必要とする1食あたりのカロリーよりもかなり低いのです。
ですので、ベースブレッド2袋を食べただけでは次の図のようにタンパク質のみならず、炭水化物や一部の味の脂質も厚生労働省が定める値よりも低くなってしまうのです。

グラフを解説します。
30代で運動量が通常程度の男性が900cal(1食に必要なカロリー)を摂取した場合、PFCバランスが良好な食事であれば黒い線(厚生労働省が定める値の上限と下限)の間に各栄養素の値が存在します。
しかしベースブレッド2袋ではカロリーが不足するため、多くの栄養素が厚生労働省が定める値の下限を下回ってしまうのです。
そこでベースブレッドを仮に1食に必要なカロリー分(男性900kcal)摂取した場合、タンパク質は厚生労働省が定める値と比較するとどうなるのかを調査し、グラフ化しました。

三大栄養素それぞれのカロリーを表記していますが、右端のたんぱく質の項目を見てください。
厚生労働省が定める値の上限値よりも多い量のたんぱく質を摂取できることがわかります。
なお2袋に含まれるタンパク質量は同じであっても、味によって1袋あたりのカロリーが異なるため、カロリーベースで考えると味(種類)によって、900kcalに含まれるタンパク質量が異なっています。
何にせよ、900kcalのベースブレッドを摂取するとタンパク質の含有量は厚生労働省が定める値の上限(20%)を超える、つまりはカロリーベースで考えるとタンパク質が豊富な食品であると言えるのです。
とはいえベースブレッドを必要カロリー分摂取するのは下記のように大量のベースブレッドを摂取することとなります。

左側が約960kcal分のベースブレッドで、右側が普通のパン1枚です。
パン食べ放題のお店にきたらこれくらいは食べるかもしれませんが、かなり量が多いので1食分としては少し現実味がないような気がします。
ベースブレッドのたんぱく質をサラダチキン・超熟と比較すると?
ベースブレッドはカロリーあたりのタンパク質が豊富な商品であることはわかりました。
ではベースブレッドは他の食材と比較しても「たんぱく質豊富」であると言えるのでしょうか?
調査していきます。
まず、ベースブレッドはパン食品でありながら、「サラダチキンよりもたんぱく質が豊富」と謳っていますので、食パンとサラダチキンとの比較から行っていきましょう。
まずはベースブレッドのたんぱく質量です。
すでに本記事で解説しているようにベースブレッドは1袋で13.5g、2袋で27gとなります。

次にサラダチキンですね。
果たして本当にベースブレッドはサラダチキンよりもたんぱく質含有量が多いのか・・・?
比較対象となるのはローソンの国産サラダチキンプレーンです。

上記のサラダチキンプレーン1枚(128kcal)は、たんぱく質が25.9gとなっており、確かにベースブレッド1食分(2袋)はサラダチキンよりもたんぱく質含有量が多いですね。
ベースブレッドの広告に偽りはありませんでした。
次はベースブレッドと一般的な食パンのたんぱく質含有量を比較してみましょう。
一口に「パン」と言っても、食べる量によって三大栄養素の含有量は変わりますので、ベースブレッド2枚分と同一カロリーの食パンと比較してみます。
ベースブレッド1食分は約410-528kcal、同等のカロリーを有する食パンは一斤の半分、つまり4枚切り2枚程度です。
皆さんご存じの「超熟4枚切り」の1枚当たりのカロリーが246kcalですので、「超熟4枚切り」2枚=492kcalとベースブレッドのたんぱく質量を比較します。

敷島製パン株式会社のHPによると、超熟4枚切り1枚当たりのたんぱく質は7.4g。
超熟4枚切り2枚には14.8gのたんぱく質が含まれることになります。
ベースブレッド2袋は27gのタンパク質が含まれていますので、同一カロリーで比較するとベースブレッドには超熟の約1.8倍ものたんぱく質が含まれることになります。
ベースブレッドはパンに分類されますが、やはり一般的な食パンを対象にすると比較にならないくらい多くのたんぱく質が含まれていることがわかります。
ベースブレッドのたんぱく質を他の食材と比較すると?
サラダチキン・食パンとベースブレッドのたんぱく質量を比較しましたが、他の食材との比較も一気に行いたいと思います。
たんぱく質が豊富に含まれている食材食材を列挙し、ベースブレッドとたんぱく質量を比較すると次のような結果となります。
食品名 | 数量 | 熱量(kcal) | たんぱく質 |
ベースブレッド | 2袋 | 410-528kcal | 27g |
卵 | 1個 | 76kcal | 6.2g |
サーモン | 100g | 139kcal | 16.88g |
牛乳 | 100ml | 66.9kcal | 3.3g |
ヨーグルト | 100g | 61.9kcal | 3.7g |
木綿豆腐 | 100g | 60kcal | 6.6g |
スライスチーズ | 1枚(18g) | 56kcal | 3.9g |
比較表を作成してみたものの、食品同士のたんぱく質を単純に比較するのはなかなか難しいですね・・。
例えばカロリーベースで比較するとサーモンの方が圧倒的にたんぱく質量は多いですが、ベースブレッドと同じカロリー分をサーモンだけで摂取すると、300gも摂取する必要があるため現実的とは言えません。
また、卵を5個食べればベースブレッド2袋と同等のたんぱく質が得られるため、食事時間の短縮やコスパを考えると「卵5個の方が優秀なんじゃない?」とも思えてしまいます。
しかしベースブレッドは「たんぱく質も多いながらも、炭水化物・脂質もある程度のバランスで摂取でき、なおかつビタミン・ミネラルが豊富」な点が最大のメリットであるため、たんぱく質の多少だけでベースブレッドの購入を考えるのは得策ではないでしょう。
ベースブレッドのタンパク質は高いのか?まとめ
以上、ベースブレッドのたんぱく質について述べてきましたが、本記事をまとめると次のようなことが言えます。
- ベースブレッドは全ての種類で1袋あたり13.5gのたんぱく質が含まれる
- ベースブレッド2袋分を食べても1食分としてのたんぱく質量は少ない
- カロリーベースで考えると、ベースブレッドのたんぱく質量は豊富であると言える
- ベースブレッドはたんぱく質のみならず、糖質・脂質・ビタミン・ミネラル量もメリット