ベースブレットに入っているチアシードって何さ?腹持ちの良さに寄与?

ベースブレッドを食べると口の中でプチプチと音がすることを、ベースブレッドを食べた経験がある人はご存じかと思います。

あの「プチプチ」は実はベースブレットに含まれるチアシードと呼ばれる原材料を歯で噛み砕いている音なのですが、チアシード自体あまり馴染みがない食べ物なので興味を持たれる方も多いのではないでしょうか?

本記事ではベースブレットに含まれているチアシードとは何なのか、何の目的で原材料として使用されているのかを分析しています。

ベースブレッドにチアシードが使用される理由は3つある

完全栄養食※のベースブレッドには、2023年9月現在、全8種類のうち7種類にチアシードが原材料として使用されています。

具体的に写真で見ると画像の黒いつぶつぶがチアシードになります。
目立つものは赤い丸で囲みました。

ベースブレッドのチアシード

まるで囲った部分以外にも黒い物体が無数に見えると思いますが、それらは全てチアシードです。

あなたがベースブレッドを食べると「プチプチする」食感が得られると思いますが、それこそが本記事で主役となっているチアシードです。

チアシードは実はスーパーでも販売されている食材で、中南米を原産地とするソチ科のチアと呼ばれる植物の種子のことです。
チアの種子(英語でseed)なので、略して「チアシード」と呼ばれています。

じゃあ何でベースブレッドにチアシードが入っているの?という疑問にこれからお答えしていきますが、チアシードがベースブレッドの原材料として用いられている理由は次の3点です。

  • ベースブレッドを食べた際のプチプチした食感を与えるため
  • ベースブレッドの腹持ちを良くするため
  • ベースブレッドの栄養を補助するため

それぞれを解説していきます

ベースブレッドのプチプチ食感はチアシードから得られている

チアシードは無味無臭の食品ですので、チアシードがベースブレッドの味に影響を直接的に与えることはありません。
しかし食品の美味しさに影響を与えるのは味だけではなく、食感も重要な要素となり得ます。

例えばクッキーを例にすると、同じ原材料から成る商品であってもサクサク感が好きな人もいれば、しっとりしたクッキーが好きな人もいるでしょう。

ですので、チアシードがベースブレッドの原材料として用いられている第一の理由は「ベースブレッドの食感を改善するため」であると考えられます。
チアシードがベースブレッドに加えられることで、ベースブレッドを咀嚼したときにぷちぷちした食感が得られます。

ベースブレットでは、通常のパンでは得られない変わったチアシードの食感を楽しく思える人がいる一方で、もちろんプチプチ感が苦手な人もいるため賛否両論ではありますが。

何にせよ、チアシードが無ければ小麦全粒粉をベースとしたパンを食べるだけですが、チアシードが良いアクセントとなるため「少し特別なものを食べている感」が得られるわけですね。

タピオカミルクティーも、タピオカがなければただのミルクティーですた、タピオカのプチプチ感が受けて一時期大きな流行になりました。
食感が我々に与える食の楽しみは、以外にも大きいものであるとベースブレッドを食べながら考えさせられます。

チアシードはベースブレッドの腹持ちに寄与している

チアシードがベースブレッドに使用されている第二の理由は、「腹持ちがよくなるため」であると考えられます。

チアシードはそのままでも食べられるのですが、水で戻すとプルプルのゼリー状態になり、どちらの状態でも食事に用いることができます。

ベースブレッドのチアシードは水で戻さずにそのまま原材料として生地に練りこまれていると考えられますが、水で戻していないチアシードはおなかの中で膨らんで我々の膨満感を与えてくれます

ベースブレッドはパン製品としては非常に腹持ちが良い商品であると言えるのですが、その理由の一つが胃の中で膨らむチアシードの効果であると言えるでしょう。

では実際にチアシードに加水するとどの程度膨らむのかを見ていきましょう。

実際に購入したチアシードをお見せすると次の画像のようになっています。

容器に盛られたチアシード

小さいつぶつぶがたくさん見えますね。
これは分量小さじ1のチアシードですが、メスシリンダーに入れ替えます。

変化前のチアシード

このチアシードに50ml程度加水して1時間放置したのが次の画像になります。

変化後のチアシード

めちゃめちゃ膨らんでる笑

チアシードは吸水力がものすごく、10倍以上に膨むんです。
チアシードに含まれる水溶性食物繊維のグルコマンナンがネバネバを生み出し、大きく膨らみます。

食べるときは小さいゴマのようなチアシードですが、おなかの中でこれだけ大きく膨らむと私たちの満腹中枢を大いに刺激してくれそうな気がしますね。

チアシードの栄養はベースブレッドの栄養に影響を与えている

ベースブレッドにチアシードが使用されている最後の理由は「チアシードが栄養豊富なので、完全栄養食※ベースブレッドの栄養補うためです。

チアシードに含まれている栄養素のうち、とくに注目すべき成分は次の2つです。

  1. 食物繊維
  2. αーリノレン酸

日本人は慢性的に食物繊維が不足している

食物繊維とαーリノレン酸がとくに重要である理由をお伝えする前に、チアシード100gあたりに含まれる、ビタミン・ミネラル等のグラフをご覧ください。

チアシード100gに含まれるビタミン・ミネラル

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」において、30代の男性に理想とされるビタミン・ミネラル含有量を1とした時、どの程度のビタミン・ミネラル等がチアシード100gに含まれるかを示しました。

さすがに100gものチアシードがベースブレッドに含まれているわけではないのですが、チアシードがどの程度のビタミン・ミネラル等を含んでいるかの目安になるかと思います。

先に述べたようにチアシードの栄養でとくに注目すべきなのが、食物繊維が豊富に含まれているという点です。
グラフからは銅やビタミンEなどがより豊富に含まれていることが読み取れますが、日本人は慢性的に食物繊維が不足している民族であるため、食物繊維が豊富なチアシードは日本人には優れた栄養補給食品となるのです。

日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、減少傾向にあります。最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの「目標量」(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。食物繊維は、体に絶対的に必要な栄養素ではありませんが、体の健康に深く関与する食品成分です。平均摂取量と目標量の差を見て明らかなように、食物繊維の積極的な摂取が必要です。

e-ヘルスネット

同様に、食物繊維のからだへの影響には次のような点が記載されています。

欧米において一日あたり24g以上の摂取で、心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスク低下が観察されるとの研究報告があります。体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げます。また食後の糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用があるためです。さらに便の量を増加させるとともに、腸内の腸内細菌のうち、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を良好に整える作用も知られています。

e-ヘルスネット

このように、日本人に慢性的に不足しておりなおかつ摂取により健康増進が期待できる食物繊維を、チアシードは豊富に含んでいるわけです。
ゆえに、食物繊維を厚生労働省が定める値に適合するよう、ベースブレッドにチアシードを原材料として利用していると推察できます。

なおベースブレットにはもちろん食物繊維以外にも豊富な栄養素が含まれていますが、興味のある方は左記リンクから一読お願いします。

αーリノレン酸も日本人が不足している栄養素

次に、もう1点チアシードの栄養で特筆すべきなのはα-リノレン酸です。

αーリノレン酸はビタミン・ミネラルではないため上記の表には記載されておらず、脂肪酸の一種であり、オメガ3脂肪酸に分類されます。

オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)は、「国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏が国民の健康の保持増進に影響を与えているもの」として厚生労働省令で定める栄養素の1つとして挙げられています。

つまりはオメガ3脂肪酸も食物繊維同様、日本人には不足している栄養素であると言えるのです。

αーリノレン酸は人の体内で生成することができない必須脂肪酸として知られており、植物や魚の油に多く含まれています。
体内に摂取されたαーリノレン酸は、EPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など、「体に良い」とされる脂肪酸へ体内で変換されます。

EPAやDHAなどはサプリメントとしても発売されているため、ご存じの方もいるのではないでしょうか?

厚生労働省が発信している「厚生労働省eJIM」によると、オメガ3系脂肪酸については次のような点が示唆されています。

  • 関節リウマチの症状を緩和する可能性
  • 高容量のオメガ3脂肪酸はトリグリセリド値(中性脂肪)を低下させる可能性
  • 魚油などの海産物由来のオメガ3脂肪酸には、脳卒中の一種である虚血性脳卒中のリスクを減らす可能性がある

あくまで「可能性」レベルでしっかりとしたエビデンスがあるわけではありませんが、いずれにせよαリノレン酸を含むオメガ3脂肪酸は日本人に不足している栄養素です。

ではチアシードにはどの程度のαーリノレン酸が含まれているのでしょうか?

チアシードに含まれている脂肪酸1gのうち、α-リノレン酸は573mgです。
1gは1000mgですのでチアシードの脂肪酸の半分以上がαーリノレン酸で構成されているわけです。

チアシード100gには33.9gの脂質が含まれるので、チアシード100gには19.4gものαーリノレン酸が含まれることになります。
仮にチアシードを10g摂取したとすると、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)の摂取量は1.94gとなり、厚生労働省が公表している1日の摂取目安量をほとんど全ての性別・年齢で補うことが可能になります(次表)。

n-3系脂肪酸の食事摂取基準

このように、ベースブレッドの原材料として使用されているチアシードには、日本人に不足している食物繊維とαーリノレン酸(nー3系脂肪酸)という2つの栄養素が豊富に含まれています。

ベースブレッドは完全栄養食※を謳っており、食物繊維とn-3系脂肪酸の含有量も厚生労働省が定める値をクリアしています。
チアシードの食物繊維とn-3系脂肪酸含有量が、ベースブレッドを完全栄養食※の名称を得るのに大きく役立っている可能性があります。

なお脂肪酸は脂質を構成する要素の1つですが、ベースブレットの脂質量などについてはリンク先の記事から参照お願いします。

ベースブレッドに含まれるチアシードに関するまとめ

さて以上でベースブレッドとチアシードの関係についての記事はおしまいです。

最後にこれまでに書いてきた内容をまとめてみました。

  • チアシードのプチプチした食感は、ベースブレッドにアクセントを与える
  • チアシードは水で戻すと膨らむため、ベースブレッドの腹持ちの良さに関与している
  • チアシードはオメガ3脂肪酸と食物繊維が豊富なので、ベースブレッドが完全栄養食※となるために役立っている

チアシードは栄養豊富な食品として知られている食品ですが、改めて栄養面では日本人に不足している栄養素を補ってくれる健康的な食品であることがわかりました。

プチプチ感は無い方が良いと思われる方もいるかもしれませんが、ベースブレッドに含まれるチアシードの食感が楽しいと感じる方も多くいらっしゃいますね。

また画像で見たように、お腹の中でチアシードは膨らむため主にダイエットなどにベースブレッドを活用しようと思う方にとっても、チアシードは味方となってくれるでしょう。

注釈 

※栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、全ての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む。

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